■ 有限会社コンクリート診断技術ブレーンセンター
   お客様に聞く- 三ツ和総合建設業協同組合

    マスコンクリートの温度応力解析事例(ボックスカルバート、RC擁壁)

「総合評価方式の工事では、技術提案書の書き方がポイントだとわかりました」

三ツ和総合建設業協同組合は、国交省の総合評価方式によるボックスカルバート等工事を受注した。
落札の決め手となった技術提案を実施するにあたり、温度応力解析業務をコンクリート診断技術ブレーンセンターに委託した。
監理技術者を務めた山中輝昭様に、提案書作成から工事竣工までのエピソードを伺った。

もくじ
  1. 三ツ和総合建設業協同組合の概要
  2. 総合評価方式~受注後に苦労したこと
  3. ブレーンセンターの仕事に対する評価
  4. 評価点1~「事前の説明がわかりやすい」
  5. 評価点2~「検討結果に説得力がある」
  6. 評価点3~「対策の効果を実感できた」
  7. 評価点4~「技術提案のポイントがわかった」
  8. ”コンクリート診断士”に解析してもらうメリット
  9. 三ツ和総合建設業協同組合のこだわり
  10. コンクリート構造物の品質向上と解析コスト
  11. 今後の期待


■ 三ツ和総合建設業協同組合の概要

― 三ツ和総合建設業協同組合の概要をお聞かせください

三ツ和総合建設業協同組合は、埼玉県さいたま市に本店があり、東京、千葉、神奈川、茨城、北海道に支店があります。50~60社の構成会社で成り立っています。

さまざまな得意分野をもつ会社が集まっていますので、高度な技術を必要とする工事や大型の工事も受注しています。

今回受注したのは、国土交通省発注の上尾道路関連工事で、総合評価方式で獲得したものです。構造物としては、ボックスカルバート3基とRC擁壁132mを施工しました。

間もなく工期を迎えますが、ひび割れらしいひび割れも発生せず、監理技術者としてほっとしているところです。

■ 総合評価方式~工事受注後に苦労したこと

技術提案書を書く上では、点数アップと実施コストとの兼ね合いが難しいと思います
技術提案書を書く上では、点数
アップと実施コストの兼ね合いが
難しいと思います
― コンクリート構造物の品質確保に関して、技術提案書では、どのような提案をされましたか

マスコンクリートとして施工しなければならないということがポイントでしたので、”温度ひび割れ対策を行う”という点を強調しました。

どこまで踏み込んだ提案とするか迷いましたが、競合他社のことを考えると、ある程度のことは書かなければならないという会社の考えもありました。

コンクリート標準示方書を参考にして、セメントの種類に関する検討や、対策目標などを示しました。


技術提案書を自分自身で作成するのは初めてでしたが、どこまで書くべきかという点では、提案の点数を伸ばしたいという面と、実施面でのコストがトレードオフの関係になるため、難しいところがあると実感しています。

― 工事受注後に苦労されたことをお聞かせください

後でわかったことですが、自分が考えていた以上にハイレベルな提案内容であったため、実施に関する国交省との協議では苦労しました。

わたし自身、同種工事でのマスコンクリート対策の経験もありましたので、提案時点ではそれほど心配していなかったのですが、解析の見積りを依頼した際、浅野さんの話を聞き、今回工事での対策をどうするか、簡単にはいかないということがわかりました。

ブレーンセンターに業務を委託してからは、追加の検討などにも応じていただき、その結果をもって国交省と協議しました。協議の回数までは覚えていませんが、承認が得られたのは、どうにか工程を遅らせずにすむ頃だったと思います。

総合評価方式で提案したことは、変更の対象にはなりませんから、今後はもう少し注意深く考えなければ、と思っています。

■ ブレーンセンターの仕事に対する評価

― ブレーンセンターの仕事に対する評価をお聞かせください

見積りを依頼した時点で、これから施工する構造物にはどんな対策が有効なのか、検討ケース数や予想される結果、最終的な対策案などをアドバイスしていただきました。
1つ1つ、その理由を説明してくれるのがいいと思います。

一番重視していたのは、国交省を説得できる報告書をまとめて欲しいということでしたが、実情を加味した提案を承認してもらう根拠になりました。

間もなく工期を迎えますが、この時期になっても、収縮ひび割れは発生していません。
適切な対策を行うことによって、これほどの効果があるということにも驚きました。

■ 評価点1~「事前の説明がわかりやすい」

-- 順にお聞きします。事前の説明がわかりやすいとは

今回の件では、提案書にいろいろ書き過ぎたということもあるのですが、実際問題として、どの程度の検討を行えばいいのか、よくわかっていませんでした。

1度にたくさんのケースを計算してもらうと、費用が嵩みます。

「まず必要な検討はこれ、その結果と最終的な落ちをふまえて、追加ケースを考えましょう」
ということでしたので、無駄な検討の費用と時間を節約できたと思っています。

やらなければならないことと、やる必要がないことをはっきり示してもらえるのはありがたいですね。

■ 評価点2~「検討結果に説得力がある」

-- 検討結果に説得力があるとは

ブレーンセンターの報告書を提出して、国交省との協議を重ねました。先ほどもふれましたが、承認をいただくまでには2カ月くらいかかったかもしれません。

その間にFAXで送っていただいた資料もたくさんあります。

時間はかかりましたが、報告書内容に関する指摘や追加検討の指示がなかったのは、検討結果がしっかりしているからだと思います。
国交省でも、今回提出した報告書をベースとして、いろいろ検討しているようでした。

■ 評価点3~「対策の効果を実感できた」

-- 対策の効果を実感したとは

本工事では、ボックスカルバートとRC擁壁を施工しましたが、ブレーンセンターの検討結果に基いて、ひび割れ誘発目地を設置する対策を行いました。

実を言うと、このような構造物では、縦に割れるひび割れが発生するのは、仕方ないことだと思っていました。

ですが、今回の現場では、このようなひび割れがないんです。

先ほど、浅野さんにも現場を見てもらいましたが、これほどひび割れが生じていないのも珍しいということでした。

自分としては半信半疑な面もありましたが、今回以上にひび割れを発生しにくくするための留意点などを説明していただき、対策の効果を実感しました。

先行工事で施工された隣工区のカルバートと比べると、一目瞭然の違いがあると自負しています。

ボックスカルバートの外観
ボックスカルバートの外観

■ 評価点4~「技術提案のポイントがわかった」

-- 技術提案のポイントがわかったとは

提案書の文章を濁しすぎると、評価の対象にならないようですが、マスコンクリートの対策に関する提案では、慎重に言葉を選ぶ必要があることがわかりました。

かといって、消極的な提案では他社との差別化ができませんから、これからも踏み込んだ提案をしていくつもりです。

温度応力解析や対策の考え方、ひび割れ指数やひび割れ幅の意味を教えていただきましたので、ポイントを押さえた提案書を作成できると思います。

― 同じような問題を抱えている会社にアドバイスするとしたら

ブレーンセンターに電話してください。
今回は大変でしたけれど、専門的な知識を学ぶことができたし、よかったと思っています。

答えを出せる人に相談できるというのは、非常にありがたいと思いました。

■ ”コンクリート診断士”に解析してもらうメリット

― 解析担当者がコンクリート診断士だったということは役に立ちましたか

「解析」だけということなら、診断士でなくてもいいかもしれませんが、現場では施工を行うわけですから、予期しないことも起こりえます。

何かあったときに相談できるのではないか、という意味で心強く感じていました。

今日も、施工したばかりの構造物を見ていただきましたが、専門的な観察眼に感心しました。
やはり、安心しますね。

■ 三ツ和総合建設業協同組合のこだわり

-- 御社のコンクリート工事で、とくに留意されている施工管理上のポイントなどがありましたら教えてください

コンクリート構造物の品質向上ということでは、コールドジョイントやジャンカ、あばたの防止ということになると思います。
わたしとしては、コンクリートのデリバリーや打込み、締固め、型枠の目違い防止などに気を使っています。

今回の工事でも、擁壁の方は高さがありましたので、いつも以上に入念に締め固めるように指示しました。

私事ですが、銘板に名前が残りますので、とにかく、ひび割れが少ない構造物を施工したいという思いがあり、そのことがモチベーションにつながりました。

RC擁壁の外観
RC擁壁の外観

■ コンクリート構造物の品質向上と解析コスト

― 今回のように事前の検討にコストをかけることについて、どう思われますか

構造物の品質に関する要求が厳しくなっていますので、今後はいま以上に、事前検討のコストが必要になるのではないでしょうか。

補修費用や時間、そのための検討書類を作成する手間を考えると、事前に手を打つという考え方はいいと思います。その方がよい構造物を施工できるからです。

ひび割れが発生する場合には、1箇所や2箇所ではすみません。調査から補修までの労力は相当なものです。

■ 今後の期待

-- ブレーンセンターに期待することをお聞かせください

三ツ和総合建設業協同組合では、ていねいな仕事をするように心掛けています。

総合評価方式の工事が増えているので、提案書の事前添削をもっと大きく宣伝してください。
提案書の書き方を指南する講習会に参加したことがありますが、そういうサービスがあったらいいと思います。

どんなことを書いたらいいか、まとめ方などを見てもらえたらいいですね。
ポイントの高い提案書を作るためのアドバイスをしてもらえたら助かります。よろしくお願いします。 

三ツ和総合建設業協同組合では、ていねいな仕事を心掛けています
三ツ和総合建設業協同組合では、ていねいな仕事を心掛けています(右は弊社浅野)

お忙しい中、有り難うございました。


※ 三ツ和総合建設業協同組合のWebサイト
※ 取材日時 2008年3月

マスコンクリートの温度応力解析のことなら
電話04-2941-6177  担当の浅野がお話をうかがいます。
ブレーンセンターはCustomer Satisfaction(顧客満足)を追求します。