講評例


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 ↑受講者名は公開しません。答案提出時に、ご自身だけが識別できる番号をつけていただきます。

1.主な変状原因の推定

 アルカリシリカ反応(以下ASR)と推定できる。

 外観上の根拠として、ひび割れが亀甲状である。アルカリシリカゲルと思われる白色の滲出物がある。表面が変色している。

  立地条件の根拠として、建設後20年が経過している。外気温は低いと考えられるが、過去に我が国では寒冷地にもASRによる劣化が報告されている。

2.原因特定、補修方法検討のための調査

(1)原因特定調査

  変状原因がASRであるかを特定するために以下の調査が必要である。

施工記録により反応性骨材使用の有無使用セメントのアルカリ量、使用混和剤の種類を調査する。

化学成分分析や元素分析を含むSEMを使用して白色の滲出物がアルカリシリカゲルであるか確認する。

(2)補修方法検討調査

 補修を行うためには変状がどの様に進むかを予測する事が重要である。そのためには、残存膨張量の測定により、今後の変状を予測することが有効である。

3.補修方法、維持管理計画

(1)補修方法

 ひび割れが亀甲状に発生しており白色の滲出物が発生しているが、さび汁が確認できないため、進展期と推定できる。

 現状の劣化度を考慮すると、補修方法は含侵材塗布による劣化因子の除去、及び、ひび割れ補修、表面被覆による腐食性物質、水分の浸入防止が有効である。

 留意点は、今後膨張が予測される場合、ひび割れ補修に追従性の良い補修材料を充填する。また、表面被覆材は防水性、透湿性の優れた材料を使用することである。

(2)今後20年間供用するための維持管理計画

 目視や簡易的な現場計測器による調査を定期的に行う計画が有効であるここで注意すべきはASR以外の劣化要因も考慮した調査計画をたてるべきである。なぜなら、寒冷地の山間部であるため、今後、凍害凍結防止剤による塩害の劣化も複合する可能性があるからである。

  変状、劣化周辺環境の変化が確認されたら、それに適合する調査を行い、残り供用期間を考慮した対策を計画的に行う事が重要である。         以上


【講評】   (←文字にカーソルを載せてください)

【講評】
 ↑構成、内容、総合の観点から、A(合格レベル)、B(合格レベル未満)の2段階で評価します。

■ 構成:A
OKです。非常によい構成です。

■ 内容:A
全体として、まずまずよく解答されています。
大きな問題はありませんので、答案の作り方としては、このようなものでよいといえますが、後半部分の解答には注意すべき点があります。
以下で指摘します。
アルカリシリカ反応→アル骨を挙げるからには、水の供給に関しても言及しておくのがよいといえます。
できる。→される(以下同じ)
思われる→考えられる(答案では、“思われる”は使用しません。“思ったこと、思いついたことを書きました”というよりも、“考えた結果である”として示した方がよい心象を与えるためです)
立地条件の根拠→その他
外気温は低いと考えられるが、過去に我が国では寒冷地にもASRによる劣化→わが国の寒冷地では、北陸地方などでASRの被害
  変状原因がASRであるかを特定するために以下の調査が必要である。→削除(不要な記述です)
施工記録により→配合報告書が残されていれば
反応性骨材使用の有無→“骨材のアルカリシリカ反応性”としてもよいと思います。
使用→削除(以下同じ)
化学成分分析や→直後の解答と重複しますので、削除します。
変状がどの様に進むかを予測する事が重要である。そのためには、残存膨張量の測定により、今後の変状を予測することが有効である。→、原因を明らかにする他、現在の劣化程度と残存膨張性を評価することが必要である。JCI-DD2法等による試験を行う
さび汁が確認できないため、進展期→“さび汁が認められなくても、加速期に至っている場合がある”ということに注意してください。
含侵材塗布による劣化因子の除去→ASRにおける含浸材塗布工法の主目的が“劣化因子の除去”というのは、少なからず違和感があります(水というのは、主要材料そのものであり、部材厚がよほど薄い場合を除いて、コンクリートが完全に乾燥してしまうことはありません。本来的な原因である反応性骨材を除去することはできません)。
外部からの水の供給と内部からの逸散を目的としたシラン系撥水材、化学的なメカニズムで膨張を抑制するリチウム系水溶液などが用いられています。
腐食性物質、水分→水及び塩分その他の劣化要因
補修に追従性の良い補修→にひび割れ追従性の良い
透湿性→透湿性、伸縮性
調査→点検、調査(以下同じ)
計画が有効である→削除
ここで注意すべきは→ここから、答案の流れが一気に変わってしまっているといえます。この辺りから、収束に向かって落としていきたいところですが、逆に発散に向かっています。
凍害→すでに20年経過していることを考えると、“なぜ、いま頃”という感が否めません。
凍結防止剤による塩害→1.で言及しておいた方がよいといえます。そのようにされているかどうかということが、読後の充実感を高めるか、逆に減らすかということに大いに関わるといえます。答案の論旨に関わる主要な材料(カード)というのは、“一番先に示さなければならない”ということです。
の劣化→削除
変状、劣化→劣化の進行
周辺環境の変化→よほどのことがない限り、環境は急激には変わらないと考えるのが自然です。
残り→残存

■ 総合:A
上でも触れましたが、後半から一気に印象の悪くなる答案です。
書き始める前に、自分の主張というものをハッキリ決め、手持ちのカードに関しては、先に明らかにしてしまう必要があります(後出しでは“受けない”ということです)。
この点、得点に関わる重要なことですので、今後の答案作成に反映させていただきたいと思います。



 
 

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